シンクロニシティとは『意味のある偶然の一致』

Synchronicity #001 シンクロニシティ ~意味のある偶然の一致~


 シンクロニシティとは、スイスの心理学者にして精神科医のカール・グスタフ・ユングが提唱した概念です。

 ユングは「偶然に一致して起こる出来事には、心理的な深い意味がある」としています。


 つまり、「偶然の一致には意味がある」ということです。


 その為、日本ではシンクロニシティは「意味のある偶然の一致」として知られています。   

 学問的には「共時性」とも訳されています。


 シンクロニシティと言うものが、どのようなものであるかを理解する為に、まずは、ユング自身が実際に体験したシンクロニシティのエピソードをご紹介しましょう。


 ユングはシンクロニシティの概念を構築していく過程において、1つの象徴的な不思議な出来事を体験しました。


 それは、精神科医であるユングが、ある女性患者の治療に行き詰まっていた時のことでした。

 その治療の行き詰まりの理由は、彼女が「あまりにも合理的、論理的な考え方に凝り固まってしまっている為」とユングは分析していました。

 そこで、ユングは、彼女にとって「何かしら非合理的な出来事でも起きてくれないだろうか」と考えました。

 

 「論理では説明のつかない、予想もしないハッとするような「不思議な出来事」でも、体験してくれれば、彼女は凝り固まった合理的な思考から抜け出せるはずなのだが…」


 と、ユングは考えました。

 そのような非合理な体験をすれば、彼女の合理的な固い頭も柔らかくなるはずです。


 そんなある日のこと。ユングのその想いを叶えるような「不思議な出来事」が起りました。


 その日、ユングは窓に背を向けて座わり、彼女の話に耳を傾けていました。彼女は、前の晩に、とても印象的な夢を見たと話をしてきました。

 それは、夢の中で、彼女が誰かから、黄金のスカラベ(カナブンのような昆虫)の高価な装飾品を受け取ったという話でした。

 ところが、ユングがこの話を聞いている時、背後の窓ガラスを、何かが優しく叩いている音が聞こえて来ました。

 ユングが振り返り確認してみると、それは明らかに暗い室内に入ろうとしている、飛行性の昆虫がガラスにぶつかる音でした。

 とても奇妙な出来事と思いつつ、ユングは窓を開け、外気とともに室内へ入ってきた、その虫を捕えました。

 それは、まさに、今、彼女が夢の中で受け取ったと話していた黄金色のスカラベに似た甲虫でした。

 ユングは女性患者が夢で見たのシーンと同じように「あなたのスカラベがここにありますよ」と、その甲虫を彼女に手渡しました。


 まさに驚くべき偶然の一致、シンクロニシティでした。


 彼女が夢の中で見た出来事とそっくりな出来事が、まさに現実に起こったのです。

 彼女の夢の中での出来事と現実での出来事が一致ました。

 さらには、それはユングが彼女の治療の為に必要だと考えていた「非合理な不思議な体験」でもあったのです。

 つまり、ユングの「彼女に非合理な不思議な体験をしてほしい」という願いとも、この出来事はシンクロ(一致)していました。


 この驚くべき偶然の一致の出来事は、ユングの予想通り、彼女が凝り固まった合理的な思考から抜け出すことに役立ちました。彼女はこの体験から少しずつ柔軟に考え方を変えることが出来るようになりました。

 そして、この出来事を体験した以降、彼女の治療において、良い結果を得るようになりました。


 いかがでしょうか。

 ユング自身もこのような偶然の一致・シンクロニシティを体験をしていたわけです。


 このシンクロニシティのポイントは3つあります。


・女性患者が夢で見た出来事と、そっくりな出来事が現実に起きた

・ユング自身が望んでいた、女性患者の治療に必要な出来事が起きた


 と言うことですが、さらに、もう1つ、重要なポイントがあります。

 このような、ユングと女性患者の両者にとって、偶然に一致した出来事が起こったわけですが、さらに不可思議なことが起きています。

 それは、スカラベに似た昆虫が、「虫の習性に逆らって」までして、このシンクロニシティを起こしていることです。


・虫の習性に逆らってまで、起きた出来事


 通常、虫は暗い所から明るい所へ向かって飛びます。

 しかし、この時の状況はどうでしたでしょうか。上記の記述を読み返してみてください。


 「それは明らかに暗い室内に入ろうとしている、飛行性の昆虫がガラスにぶつかる音でした」


 このように、この時の昆虫は、自らの習性に逆らってまで、ユングたちのいる部屋の中に飛び込んできたのです。

 

 シンクロニシティでは、時折、このような


『一般的常識とは異なる出来事まで起こります』


 つまり、シンクロニシティでは、普通では考えられないような、非合理的であり、奇跡的とも言えるような出来事が起こるということです。

 このことは、とても重要ですので、しっかりと記憶しておいてください。

 奇跡的な出来事に関してましては、このサイトの『EVIDENCE OF SYNCHRONICITY:実例集』にある、私が体験したシンクロニシティの実例をお読みいただければ、さらにご納得いただけることかと思います。


 話を戻しましょう。


 そして、このシンクロニシティにおいて、最も注目すべき点は、「ユングが治療の為に望んでいた出来事」であり、同時に「女性患者の治療に必要な出来事」が起きているという点です。


・ユング自身が望んでいた、女性患者の「治療」に必要な出来事が起きた

・女性患者にとって、自身の「治療」に必要な出来事が起きた


 つまり、


 このシンクロニシティが「治療」に必要な出来事として起きている


 と言うことです。

 ユングは女性患者の治療の為に、心の中で「彼女の凝り固まった思考に風穴を開けるべき非合理な出来事でも起きてくれれば……」と願っていました。

 すると、そこに、女性患者の「夢で見た出来事とそっくりな出来事」が現実に起こりました。これは、まさにユングの望んでいた「非合理な出来事」でした。

 この出来事を通じて、ユングが願っていた通りに、「女性患者の頑なだった思考が柔くなっていった」わけです。そして治療は快方へと向かいました。

 つまり、これは、女性患者の「治療」に必要だった出来事だったとも言えます。


 実際、この出来事を体験したことで女性患者の症状が改善の方向へ向かいだしました。


 このことからしますと、


 シンクロニシティは「女性患者を快方へ向かわせる為」つまり「彼女の人生をより良くする為」に起きている


 かのようにも目に映ります。

 まるで、シンクロニシティがユングと女性患者を助けてくれたかのようにも見えます。

 少なくとも、このシンクロニシティを体験したことで、女性患者の人生がより良い方向へ向かい出したことは、事実です。


 私はこれを一種のシンクロニシティにおける「人生の自己回復機能」だと考えています。


 このことから、全てのケースではないにしても、


・人生をより良い方向へ向かわせる為にシンクロニシティが起きるケースがある

・シンクロニシティを活用することで、人生をより良くすることが可能なケースがある


 と言えると、私は考えています。

 この「シンクロニシティを活用することで」というのは、どういうことかと言いますと、このユングのケースにおきましても、


 ユングが「このシンクロニシティを活用したからこそ、女性患者の症状が快方へと向かった」


 という側面を見逃してはいけません。


 これはどういうことかと言いますと、もし仮にユングが後ろを振り返り甲虫の存在に気づいたとしても、「あ、虫か・・・」と無視してしまっていたら、女性患者の「治療」には役立たなかったということです。

 ユングがその甲虫を捕まえて、女性患者に渡すといった、「彼女が夢で見たのと同じシーン」を再現したからこそ、彼女の「治療」に役立ったわけです。


 ユングがシンクロニシティに気づき活用したからこそ「治療」に役立ったわけです。


 つまり、これは


・シンクロニシティを活用したからこそ現実に役立った

・シンクロニシティは活用することで、はじめて役立つ

・シンクロニシティを役立てるには活用する必要がある


 ということを指し示しているわけです。


 『シンクロニシティを本当の意味で役立てるには、その存在に気づき、しっかりと活用する必要がある』


 シンクロニシティは単なる偶然の一致ではなく、活用することで、現実に役立つ、意味のある出来事です。

 このことを、しっかりと知っておいてください。

 

 このように、シンクロニシティでは、「心の中にあるモノが、外の世界に何らかの意味を伴った物理的な現象(出来事)として現れる」わけです。

 ここがシンクロニシティを理解する為の大切なポイントです。


 「心の中にあるモノが、外の世界に何らかの意味を伴った物理的な現象として現れる」


 これがシンクロニシティの最大の特徴であり、発生の基本的なメカニズムとも言えます。

 このことをしっかりと覚えておいてください。


 そして、このシンクロニシティでは、甲虫という物質的な要素が現実的に関わっています。甲虫のこの出来事に対する関与は「物理的な現象」であり「物的証拠」とも言えます。


 「心の中にあるモノ」が、現実的に「物理的な出来事」として、何らかの意味を伴う「現象」として現れるわけです。


 このことから、私はシンクロニシティを『現象物理心理学』と位置づけております。


 それでは、ユングと女性患者が体験したシンクロニシティの一連の流れをまとめてみましょう。



<シンクロニシティの一連の流れ>

・ユングが女性患者の治療に行き詰っていた

   ↓

・その原因は彼女があまりにも合理的な思考だった

   ↓

・ユングは「彼女の合理思考に風穴を開ける非合理な出来事」が起こることを望んだ

   ↓

・女性患者が「誰かに『スカラベに似た昆虫』の装飾品をもらう」夢を見た

   ↓

・ユングがその話を彼女から聞いていた時

   ↓

・現実に、部屋に『スカラベに似た昆虫』が入ってきた(シンクロニシティ)

   ↓

・ユングはその昆虫を捕まえ、夢と同じように彼女に手渡した

   ↓

・彼女はこの非合理な体験から、柔軟な思考へと変わり始めた

   ↓

・行き詰っていた彼女の「治療」において良い結果を得た



<シンクロニシティの意味>

・このシンクロニシティを体験して、彼女の人生が快方へと向かった

・このシンクロニシティには、彼女の症状を改善させる意味があった


<シンクロニシティ理解のポイント>

・心の中にあるモノが、外の世界に何らかの意味を伴った物理的な現象として現れる

・シンクロニシティには人生を快方に向かわせる現象が起きるケースがある

・シンクロニシティは「現象物理心理学」:心理学として語られるべき概念


<シンクロニシティの可能性>

・人生を良い方向へ向かわせる為にシンクロニシティが起きるケースがある

・シンクロニシティを活用することで、人生をより良くすることが可能なケースがある

  ↓

・シンクロニシティによる「人生の自己回復機能」


<シンクロニシティの活用の必要性>

・シンクロニシティを無視した場合は全く役に立たない

・シンクロニシティを活用したからこそ現実に役立った

・シンクロニシティを役立てるには活用する必要がある

・シンクロニシティは活用することで、はじめて役立つ

  ↓

・シンクロニシティの活用法を理解しておくことが必要


<シンクロニシティの重要ポイント>

『心の中にあるモノが、外の世界に何らかの意味を伴った物理的な現象として現れる』

『単なる偶然の一致ではなく、活用することで現実に役立つ意味のある出来事となる』

『本当の意味で役立てるには、その存在に気づき、しっかり「活用」することが必要』


 このサイトでは、私の実体験を通して、しっかりと『活用法』をお伝えしていきます。


 ご期待ください。


 


 

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